- 内々定の辞退に法的な問題はない
- なるべく早めに内々定辞退の旨を連絡する
- 内々定辞退の理由をできるだけ素直に伝える
- 企業から内々定を受けたことに感謝を述べる
内々定をどのように辞退すればいいか疑問に思っている人も多いでしょう。内々定を辞退しても法的に問題はありませんが、守るべきマナーがあります。やむを得ず内々定を辞退する場合は、早めに連絡し、素直に理由を伝えましょう。
企業は多大な労力や費用をかけて採用活動をしています。多くの志望者の中から選んでもらったことへの感謝を忘れないようにしましょう。
本記事では例文とともに、いつまでに内々定を辞退すればいいか、内々定辞退のマナー、企業側の内々定辞退のデメリットなどを解説します。
内々定とは?
「内々定」は、採用の「内定」を出すことが約束された状態を指します。ただし、内々定は法的拘束力のない、いわゆる口約束です。新卒採用の場合、6月1日以降に内々定を通知されることが一般的です。
一方で「内定」は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる労働契約を指します。内定を承諾して成立すると、法的拘束力が発生します。10月1日に内定式を催し、内定通知書を渡す企業が多いでしょう。求職者が内定承諾書を提出することで、契約が成立します。
内々定後も就活は続けられる
前述したように、内々定に法的拘束力はありません。内々定後も就活を続けられます。他に志望度の高い企業があれば、後悔のないように活動しましょう。
内々定をもらった企業から就活を続けるかどうか問われたら、正直に答えることをおすすめします。辞退したとしても、社会人になってから内々定をもらった企業と関わるかもしれません。今後のことを考慮して、誠実に対応しましょう。
一般的な良識のある企業ならば、就活を続ける旨を伝えても内々定は取り消されません。
内々定承諾後も辞退できる
内々定承諾後も辞退できます。内々定を出した後に「内々定承諾書」の提出を求める企業もありますが、やはり法的な効力はありません。
ただし、就活を続ける意思がある場合は、内々定承諾書が送られてきた際に、企業の採用担当者に相談することをおすすめします。後悔のないよう就活を続けたい旨を、誠意をもって伝えましょう。
誠実さが伝われば、あなたの意思を尊重して、内々定承諾の期限を後ろ倒ししてくれるでしょう。
内々定の辞退はいつまでにすれば良い?
内々定辞退の明確な期限はありません。正式な内定を承諾するまでは、いつ内々定を辞退しても法的には問題ありません。
ただし、内々定を辞退する意思が固まったら速やかに辞退の連絡をするのがおすすめです。内定式直前になって辞退の連絡をすると、企業に大きな迷惑がかかります。
前述したように、就活を続けるために内々定承諾を遅らせたい場合は、企業の採用担当者に相談しましょう。誠意が伝われば承諾期限を延長でき、安心して就活を続けることができるかもしれません。
内々定を辞退する際のマナー
早めに連絡する
内々定を辞退することを決めたら、早めに連絡しましょう。内々定辞退を決めてから内定式まで何か月も連絡しないことは、マナー違反です。
自分の言葉で直接謝意を伝えるために、電話で辞退の連絡をすることをおすすめします。電話であれば、採用担当者に確実に連絡できます。就業開始・終了付近、昼休憩などの時間帯を避けて電話をかけましょう。
電話で伝えることがはばかられる場合は、メールによる連絡でも構いません。どんな方法でも、誠意を伝えることが大切です。
できるだけ理由を素直に伝える
内々定を辞退する旨を連絡した際、企業から理由を問われた場合には、できるだけ素直に理由を伝えましょう。企業は、内々定辞退者の理由を分析して来年度以降の採用活動に活かします。
嘘の理由を伝えても、採用担当者に見破られ、気まずい思いをするかもしれません。理由を正直に伝えて納得してもらえれば、採用担当者はあなたの意思を尊重して応援してくれるでしょう。
社会人になってから内々定を辞退した企業と関わる可能性もあります。誠意を伝えるためにも、可能な限り正直に理由を伝えましょう。
感謝を述べる
内々定を辞退する際は、必ず感謝の気持ちも伝えてください。
企業は、多大な労力と費用をかけて採用活動をしています。内々定を出すときは、あなたのことを他の志望者よりも高く評価しています。あなたが企業で長く活躍することを期待しているでしょう。企業の評価を軽んじて、不誠実な態度で内々定を辞退してはいけません。
評価してもらったことに対して十分に感謝を伝えましょう。誠実さが伝われば、あなたの今後の活躍を願ってくれるでしょう。
内々定辞退のメールの例文
まずはメールの件名で、内々定辞退の旨を伝えましょう。自分が誰なのかを示すことも大切です。
本文には、内々定辞退の旨だけでなく、内々定をいただいたことに対する感謝の気持ちも記載します。内々定辞退の理由を述べると、相手は納得しやすいでしょう。メールでの連絡となったことへの謝罪の気持ちも伝えた後、企業へのあいさつや署名も忘れずに載せましょう。
内々定辞退の電話の例文
まずは【A】のように、自分の名前を名乗ってから、採用担当者を呼びましょう。採用担当者が電話に出たら、相手に時間があるかを確認してください。前述したように、就業開始・終了付近、昼休憩などの時間帯を避けて電話をかけましょう。
次に、【B】のように誠意をもって内々定辞退の旨を述べます。内々定辞退の理由を問われたら、【C】のように正直に理由を伝えましょう。正直に話すことで誠意が伝わり、採用担当者はあなたの意思を尊重してくれるでしょう。具体的な他社名を述べる必要はありません。
相手に納得してもらえたら、【D】のように電話での連絡となったことをお詫びします。
最後に電話を切る前に、【E】のように改めて感謝とお詫びの気持ちを伝えます。このような流れで失礼にならないよう丁寧な対応を心がけましょう。
企業側の内々定辞退のデメリット
内々定を出した求職者に辞退されると、企業にとってはデメリットが発生します。企業側の内々定辞退のデメリットを把握して、相手の立場になって誠実に辞退の連絡をしましょう。
採用予定人数が不足する
企業は、過去の業績や今後の経営目標などを考慮して採用予定人数を定めています。何年も前から計画している企業もあるでしょう。
内々定を出した求職者に相次いで辞退されると、想定していた採用予定人数に満たないという事態も起きてしまいます。必要な人数を採用できないことは、会社の業績に大きな悪影響を及ぼすでしょう。
10月1日の内定式直前に求職者に辞退されると、企業は困ってしまいます。内定式直前に人材を新たに探すことは非常に困難です。本年度の採用人数を踏まえて、次年度以降の採用予定人数を検討し始める企業も多くあります。
企業の負担を考慮して、内々定の辞退を決めたら、早めに連絡しましょう。
コストや労力が無駄になる
少子化により若い人材が不足している中で少しでも優秀な人材を採用するために、企業は採用活動に多額のコストや労力をかけています。
そうした状況で、内々定を出した就活生に辞退されることは、それまでにかけたコストの損失に他なりません。そのため、あくまでも申し訳ないことであるという姿勢は忘れずに辞退を申し出る必要があります。
内々定に関するQ&A
内々定辞退の期限やマナー以外に、内々定に関して就活者が知っておくべきことがいくつかあります。以下の内容に一度目を通し、トラブルが発生した際には適切に対応しましょう。
内々定辞退のメールに返信がない場合は?
内々定辞退のメールに何日も返信がない場合は、改めて電話やメールで連絡を試みましょう。メールを見落としていたり、システムエラーでメールの送信ができていない可能性があります。
担当者からメールの返信がない状態で放置することは避けましょう。お互いの意見に食い違いが発生したままにすると、何か月も経ってからトラブルに発展するかもしれません。
メールで連絡する場合は、改めて作成したメールに、最初に送ったメールを添付して送信しましょう。電話で連絡する際も、メールを送ったことを伝えます。連絡が遅くなったわけではなく、一度はメールを送信したことを明確に伝えることが大切です。
「オワハラ」にあったときは?
「オワハラ」とは、「就活終われハラスメント」の略称で、内々定を出した求職者の就職活動を終わらせようと働きかける行為を指します。
オワハラに遭ったら、大学の就職支援センターや、各都道府県の総合労働相談コーナー、新卒応援ハローワークなどに相談してみてください。
オワハラをするようなコンプライアンス意識の低い企業で働き始めると、パワハラやモラハラを受ける可能性があります。内々定には法的拘束力はないので、他に志望度が高い企業があるならば就活を続けても構いません。感謝の気持ちを持ちつつも、堂々と対応しましょう。
内々定を取り消されることはある?
何度も述べている通り、内々定は法的な効力のない口約束です。求職者は、内々定を辞退しても問題ありません。一方で、企業も一度出した内々定を取り消し可能です。企業に内々定を取り消される理由として、以下が考えられます。
- 大学を卒業できないことが判明した
- 勤務が難しいほどの病気や怪我に見舞われた
- 重大な虚偽の申告をしたことが発覚した
- 犯罪行為が発覚した
- 不適切な内容をSNSに投稿した
- 入社に必要な書類を期限内に提出しなかった
- 企業の業績が急激に悪化した
- 自然災害により事業を継続できなくなった
内々定の承諾を保留しても、良識のある企業ならば内々定を取り消すことはありません。
万が一、企業に内々定を取り消された際は、大学の就職支援センター、各都道府県の総合労働相談コーナー、新卒応援ハローワークなどに相談してみましょう。
内々定を辞退する際には必ず感謝の気持ちを伝えよう
内々定は法的な効力のない、いわゆる口約束です。継続して就活することもできるので、他に志望度の高い企業がある場合は、後悔のないように活動を続けましょう。ただし、内々定の辞退を決めたときは、マナーを守り、誠実な対応をとらなければなりません。
正式な内定の直前に内々定を辞退されると、採用予定人数を満たせず、企業に大きな迷惑をかけることになります。内々定を辞退する気持ちが固まったら、早めに連絡しましょう。その際には、内々定をいただいたことへの感謝も忘れずに伝えましょう。
内々定を辞退するときは、誠意をもって対応することが大切です。最後までしっかりと対応しましょう。