- OB訪問の依頼は電話よりもメールがベター
- 候補日時はこちらから提示する
- 依頼の1〜2週間後の日程で調整する
- 土日祝日と営業時間外は避ける
志望企業への理解を深める上で、社員と1対1で話せるOB訪問は非常に貴重な機会です。しかし、社会人として働くOBの連絡先を調べて自分で連絡を取り、訪問のアポイントを取り付けるのは、学生にとっては少々ハードルが高いアクションといえるかもしれません。
依頼の段階で失礼があると、訪問を承諾してもらえなくなる可能性もあります。そこでこの記事では、OB訪問の依頼をする際のマナーや、メールでの日程調整の仕方を例文つきで紹介します。
OB訪問を依頼する前に必要な心構え
OBたちは忙しい業務の合間を縫って後輩のために時間を確保してくれています。そのことに感謝の気持ちを持ち、相手側の負担にも配慮して、日程調整のやり取りもなるべく少ない回数で行うことを心がけることが大切です。
礼儀に欠けた対応や態度を取ると初めは前向きに検討してくれていたOBに不快な思いをさせてしまい、依頼を断られてしまうかもしれません。
また、今回は引き受けてくれても、次回からは協力してもらえなくなる恐れがあります。お互いが気持ちよくOB訪問の時間を過ごせるように、依頼や日程調整の際のマナーを押さえておきましょう。
OB訪問の依頼は電話よりもメールがベター
OB訪問を依頼する時の初回の連絡は電話よりもメールで行う方が望ましいです。メールであれば件名から重要度や優先度を判断し、相手の都合の良いタイミングで目を通すことができます。一方の電話は急ぎの用件や文章では伝えにくいことを伝えるには便利ですが、少なからず相手の時間を拘束してしまう側面があります。
業務とは直接的に関係のないOB訪問の依頼を電話でしてしまうと、仕事の邪魔をしてしまうほか、忙しいからと話をきちんと聞いてもらえなかったり、「相手の都合を考慮できない学生だ」と判断されてしまったりする可能性もあります。
OB・OGとすでに面識があり、ある程度親しい関係性にあるのであれば電話での依頼も選択肢のひとつですが、初対面の相手であればまずはメールで自己紹介と要件を伝えることから始めることをおすすめします。
OB訪問の日程調整のマナー
自分から複数の候補日時を提案する
OB訪問の日程調整では先方から日時を提案してもらうのではなく、自分から複数の候補を提示しましょう。相手には仕事の都合があるので、ピンポイントではなく少なくとも3つ以上の日程を示すようにしてください。
日時は先方から提示される場合がある
最初にこちらが示した日程では予定が合わず、先方から別の日時を提示される場合もあります。柔軟に対応し、なるべく相手の都合に合わせられるようにしましょう。
「○○時〜○○時の間で1時間」のように時間にも幅を持たせておくと、双方合意しやすいでしょう。
目安は依頼の1~2週間後
社会人は多忙なスケジュールで動いているため、2、3日後など直前に依頼をされても、すぐに予定を調整することは簡単ではありません。また、OB側も面談の前に情報収集や質問に目を通して回答の準備をする必要があるため、相手に負担をかけないように、依頼メールを送った日から1〜2週間後の日程を提示するようにしましょう。
また、社会人は急な会議や出張が入ることも多く、予定が変動しやすいため、2週間以上先となると確実な予測がつかない可能性があります。学生としても、あまり先の日程ではせっかく企業研究で調べたことの記憶が薄れてしまうかもしれません。
双方の事情を考慮しても、依頼の1〜2週間後の訪問がベストといえるでしょう。
土日祝日を避けた平日の昼間が一般的
OB訪問への対応を業務の一環としている会社もありますが、業務外の時間で、社員が休み時間を割いて対応している会社も少なくありません。そのため、OB訪問は平日の昼休みに行われることが一般的です。
業務としてOB訪問に対応している会社でも、仕事が集中する時間帯や始業直後、就業間際はなるべく避ける必要があります。先方から指定があった場合を除き、朝イチや夕方、夜の時間帯を希望することは控えましょう。
なお、多くの会社員にとって休日となる土日祝日は避けるのがマナーです。
安易に日時の変更はしない
直前の変更でなければ、日程変更のお願いをしても構いません。ただし、2度目の日時変更は相手が不信に思う可能性が高いので、安易に再変更しなくて済むよう、慎重に日時を設定しましょう。
やむを得ない事情で訪問直前に日時変更が必要になった場合、先方に他の予定を変更してもらわなければならなくなるかもしれません。訪問当日の連絡はメールではなく電話で事情を説明し、しっかりと謝罪することがマナーです。
その際、再調整の都合がつかなければOB訪問の依頼を断られてしまう可能性があることも覚悟しておきましょう。
OB訪問の依頼メールに記載する内容7つ
1. 初めの挨拶文&自己紹介
どんなメールもまずは挨拶と自己紹介から行います。初回のメールでは「はじめまして」や「初めてご連絡いたします」「突然のご連絡失礼いたします」などの挨拶文が一般的です。2度目のやり取りからは「お世話になっております」を使うとよいでしょう。自己紹介では「○○大学○○学部○年○○と申します」と自分の所属と氏名を名乗ります。
すでに面識のある相手に依頼する場合は、状況に応じて挨拶や自己紹介の仕方も変えた方が堅苦しくなりすぎずに済みます。例えば数日前に会社説明会で会って話したばかりの相手であれば、「お世話になっております。○○大学の○○です。先日はお話いただきありがとうございました」と前回のことを想起させる言葉で始めると自然な流れになるでしょう。
面識があっても最後に会った時から間が空いている場合は、自分のことを覚えていない可能性もあるので学部や学年を省略せずに改めて自己紹介をしましょう。
2. 連絡先の入手経路
- 大学のキャリア支援センターのOB名簿から探す
- 大学の教授に紹介してもらう
- 家族、友人、知人に紹介してもらう
- 企業ホームページの社員紹介から探す
- インターンシップや会社説明会で知り合う
- 企業の人事部に直接連絡して社員を紹介してもらう
面識がない相手にOB訪問の依頼をする場合、いきなり知らない人から連絡が来ると訝られてしまうので、どこから連絡先を入手したのかを明記しましょう。連絡先を入手した経緯を示すことで共通の話題が見つかりやすくなったり、聞ける質問の幅が広がったりすることもあります。
例えば第三者の紹介を通じてOBに連絡する場合は、「○○さんから貴社でご活躍されていることを知り、ご連絡させていただきました」とその旨を記載します。
3. OB訪問の依頼と目的
OB訪問をしたい旨を伝え、その目的も簡単に説明しましょう。具体的な質問内容は後でリスト化して示せばよいので、依頼の段階では「貴社で働くイメージを掴むために実際の仕事内容や社風を知りたい」「就活の体験談が聞きたい」など端的に伝えられればOKです。
4. 候補日時の提案
訪問を希望する日時を提案しましょう。OB訪問の承諾を得てから日時を提案してもいいのですが、依頼の段階で日時候補も示しておいた方がメールの回数が少なくて済むため効率的です。
相手の都合に考慮して必ず複数の日時を提示し、時間帯も「午前」、「午後」、「○○時以降」など幅を持たせ、おおまかな所要時間も記載しておきましょう。一般的には1時間程度が目安です。
5. 訪問場所や実施方法の確認
近年ではOB訪問の形式も変化し、直接対面する以外にオンラインでの面談も一般的になってきています。会社に訪問するのか、会社近くの喫茶店などで面会するのか、オンラインでの面談にするのか、相手にとって都合の良い形式や場所を確認しましょう。
外回りや出張が多い職種のOBはオンラインでの実施を指定されることが多いようです。「その日は営業先の○○駅の近くであれば○時から時間が取れる」など、日程によっても最適な実施場所が異なってきます。こちらから提案するよりは相手に指定してもらい、相手の都合に合わせるようにしましょう。
6. OB訪問で知りたいこと
OBへの質問は依頼の段階であらかじめリストにまとめて伝えておきましょう。聞き漏れをなくせるだけでなく、相手も事前に質問内容を把握できるため、それに沿って回答の準備ができ、じっくり考えた上での深い回答が得やすくなります。
また、当日は時間が足りずに聞きたいこと全てを聞けるとは限りません。質問がたくさんある場合は優先順位をつけて「これだけは絶対に聞いておきたい」という質問を明確にしておくとよいでしょう。
7. 入社への熱意
用件だけを簡潔に伝えるだけでも間違いはないものの、入社への熱意や意欲を伝えた方がOBとしても「この学生の力になってあげよう」という気持ちが起きやすくなります。やる気がなさそうな学生よりも熱心な学生に対しての方が質問により詳しく答えてくれる可能性が高まりますし、キャリアプランの相談についても、ビジネスライクな答えだけでなく、より親身なアドバイスをもらえるかもしれません。
OB訪問の日程調整メール例文
1. 最初の依頼をする
初回のメールはあなたの第一印象を決めるものになるため、丁寧な言葉遣いと正しい敬語が使えているか、誤字脱字がないかしっかりと確認することが大切です。
なお、OB訪問を受けてもらえるかわからない段階で候補日を提示すると「強引」「一方的」という捉え方をされることもゼロではないため、「先んじて私の都合がつく日時をお伝えしておきます」「都合がつかなければ他の日程でも調整できます」という一言を添えておくと不躾な印象を回避できます。
また、本文の最後には署名も忘れずに記載しておきましょう。
2. 訪問承諾へのお礼&日程を確定する
OB訪問を承諾してもらえたら、必ずお礼を伝えましょう。
オンラインでの面談を指定された場合は、あらかじめ参加URLを発行してメールに記載しておく必要があります。また、ビデオ会議システムは無料版だと時間制限が設けられていることがあるので注意しましょう。
Google Meetは1対1の会議であれば無料版でも24時間まで利用でき、アプリをインストールしなくともブラウザ上でWeb会議を行えるのでおすすめです。
3. 相手から提示された日程が合わず他の日程を提示する
日程の調整を依頼する場合は、「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「あいにく」などのクッション言葉を使用し、相手に手間を取らせてしまうことに対して申し訳ない気持ちを伝えるようにしましょう。
他の日程を提示する理由については詳細に書く必要はないので、簡潔に「あいにく都合がつかない」と伝えるだけでも構いません。
4. やむを得ない事情で日程の変更を依頼する
日程が確定した後にやむを得ない事情で日程変更が必要になった場合は、謝罪の言葉を述べた上で再調整のお願いをします。
可能であれば事情も簡潔に説明した方が誠実な印象になりますが、他の就活の日程と被ってしまった場合などは相手の心象を悪くしないよう、単に「都合がつかなくなった」と伝えればOKです。代替案を提示する場合も、相手の都合に配慮してなるべく複数の候補を挙げるようにしましょう。
5. 訪問前日のリマインド
仕事が立て込んでいると、OBが訪問の約束をうっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。特に日程調整から日が経っている場合は要注意です。そうした事態を回避するため、訪問前日にリマインドメールを送っておくことをおすすめします。
リマインドメールは実際のビジネスシーンでもよく利用されているため、送ること自体は失礼には当たりません。ただし、メールの件名や本文に「リマインド」と記載すると、人によっては催促されているように感じて不愉快な思いをさせてしまう恐れがあります。
そのため、件名は最初のまま変更せずに残しておくか、書き直す場合は「明日のOB訪問につきまして」などと記載しておくとよいでしょう。
6. 訪問後のお礼
OB訪問のお礼メールは社会人のマナーであるだけでなく、今後の関係性を良好に保つためにも重要です。できれば当日中に、遅くとも翌日のうちに送りましょう。忙しい中で機会を用意してくれたことへの感謝の気持ちを述べ、話を聞く中で得た学びや参考になった点を具体的に伝えられると好印象につながります。
7. 訪問を断られた
残念ながら多忙さなどの理由からOB訪問の依頼を断られてしまった場合でも、最後まで丁寧に対応することが大切です。一度断られてしまったのであれば、先方の迷惑にならないよう再度お願いしたり理由を問いただしたりすることは控え、他のOBに連絡を取ってみましょう。
OB訪問の日程調整メールを送る前のチェック事項
件名は端的にわかりやすく
ビジネスメールの件名は端的にわかりやすく記載するのが基本です。OBによっては複数人の学生から依頼を受けている可能性もあるため、「OB訪問のお願い」の後に大学名と氏名も記載しておくと、一目で用件と誰からのメールなのかがわかって親切です。
メールの送信は平日の営業時間中に行う
メールを送信する時間帯にも注意しましょう。ビジネスでは平日の営業時間中に送るのがマナーとされています。早朝や深夜、土日祝日にメールを送ると常識に欠ける印象を与えてしまうため、緊急の用件でない限り営業時間外のメールは避けるようにしてください。
誤字脱字がないか確認する
メールを送信する前に声に出しながら文章を読み返し、誤字脱字がないかよく確認しておきましょう。OBは最初の依頼メールの文面からあなたのことを「どんな学生なのだろう?」と推測するため、単純なミスであっても誤字脱字があるだけでいい加減な印象を与えてしまいます。
また、相手の会社名や役職、氏名に間違いがあると大変な失礼に当たるため、しっかり見直しておくことが大切です。
OB訪問の日程調整はマナーを守って上手に進めよう
ビジネスの世界でさまざまな人を相手に働いている社会人たちは、OB訪問の依頼の仕方や日程調整の進め方からも、あなたがどんな人物であるのかをある程度想定することができます。
「やる気のある学生だ」「就活の力になってあげたい」と思ってもらえるように、最初の依頼メールから好印象を残せるよう心がけましょう。お互いが気持ちよく面談の時間を過ごすためにも、マナーを守り、相手の都合に配慮した日程や時間帯を提示するようにしましょう。