履歴書の送付状・添え状の書き方と注意点【テンプレートあり】

履歴書の送付状・添え状の書き方と注意点【テンプレートあり】
この記事のまとめ
  • 送付状は挨拶と書類送付の通知の役割がある
  • 頭語・結語・時候の挨拶の決まりを押さえる
  • 送付状には自己PRや志望動機は書かない

就活では履歴書などの応募書類を郵送するよう求められるシーンが多くなります。その際に押さえておきたいのが送付状(添え状)のマナーです。就活で初めて作成する学生がほとんどかもしれませんが、企業に好印象を残すためにもきちんとマナーに則った送付状を作成したいところです。

この記事では、送付状の基本の書き方や作成時の注意点を解説します。

企業に履歴書を送る時の送付状(添え状)とは?

送付状(添え状)とはビジネスシーンで書類を送付する時に添える文書のことです。郵送以外にFAXで送る時も送付状を同封することがマナーとされています。

送付状には送り先への挨拶状としての役割と、誰が何の書類を送ったのかを通知する役割があります。

挨拶状としては、本来なら訪問して手渡しすべきところを、郵送して申し訳ないという気持ちを表す意味も込められています。そのため、直接書類を持参する時は送付状を書く必要はありません。

送付状に記入する項目

送付状に記入する項目

送付年月日

履歴書を送付(投函)する年月日を右よせで記載します。年は和暦、西暦どちらでもOKですが、同封する書類の表記と合わせるようにしましょう。

宛先(応募企業の情報)

宛先には応募先企業の情報を日付の下に左寄せで記載します。企業名や団体名は省略せず、正式名称で記載しましょう。

企業名の下には、部署名、担当者の氏名、敬称を記載します。担当者名が不明な場合はあえて記載せず、会社名のみで敬称を「御中」とするか、「採用ご担当者様」としても問題ありません。

差出人(自分の情報)

差出人には送り主である自分の情報を記載します。宛先の下の行に右寄せで記すのが一般的です。記載する内容は以下の通りです。

差出人として記載する内容
  • 郵便番号
  • 住所
  • 所属大学・学部・学科・学年
  • 氏名

表題

表題には書類を送付した目的が一目でわかるように簡潔に記載します。履歴書はエントリーシートなど他の応募書類とまとめて送る場合が多いので、「応募書類送付について」などとするのが一般的です。配置は中央にします。

頭語

頭語は改まった文書や手紙の冒頭に記す「こんにちは」「ごめんください」などの挨拶に当たる言葉です。丁寧さの度合いによってさまざまな種類があり、文書の内容や相手との関係性によって適切な頭語が異なります。

ビジネスでは「拝啓」が一般的です。頭語は結語とセットで使うのが決まりで、「拝啓」に対しての結語は「敬具」が用いられます。

時候のあいさつ

時候の挨拶とは頭語に続く書き出しの言葉のことで、季語を織り交ぜた四季豊かな日本ならではの習わしです。形式的な表現のため、ビジネスシーンでも一般的に用いられます。どのような表現が適切かは時期によって異なります。

春(2〜4月)立春の候、残雪の候、春陽の候など
夏(5〜8月)新緑の候、初夏の候、盛夏の候、晩暑の候など
秋(9~11月)紅葉の候、秋涼の候、晩秋の候など
冬(12~1月)初冬の候、師走の候、夏至の候、新春の候など

これらの季語に続いて、「○○の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます」「○○の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」といった挨拶文を記載するのが定番です。

「ご清栄」に似た表現で「ご清祥」「ご健勝」などもありますが、これらは個人に向けた文書で用いられる表現のためビジネス文書では基本的に使用しません。

もしくは、季語を使わず「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」という表現も可能です。その場合は「時下」に時候の挨拶が含まれているので、「○○の候、時下ますます〜」とするのは重複表現になることに注意しましょう。

本文・末文

本文では「貴社の新卒採用試験に応募させていただきたく、履歴書を送付いたしました」「ぜひ面接の機会をいただけますと幸いです」と書類送付の目的と用件を簡潔に記載します。

また、必須ではありませんが、「会社説明会に参加して入社したい気持ちが強まりました」など、応募に至った経緯も簡単にまとめると好印象です。

末文は本題が終わることを示す締めの文章です。書類を送付するシーンでは「確認してお受け取りください」という意味の「ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」がよく使われます。シンプルな「何卒よろしくお願いたします」も一般的です。

結語

結後(けつご)は「失礼いたします」に当たる文章の結びの言葉で、頭語に対応させて使います。「拝啓」と対になる「敬具」には「謹んで申し上げました」という意味があります。結語は末文から一行改行し、横書きの場合は右揃え、縦書きの場合は下よせで記載しましょう。

在中書類の記載

応募書類の中で履歴書だけを送るケースは少なく、一般的にはエントリーシートなどと同封して送ります。そのため、企業側が何の書類が何枚送られてきたのか確認できるように、在中書類を記載する必要があります。

結語から1行あけ、中央揃えで「記」と書いた下に、在中書類とそれぞれの枚数を箇条書きで記載しましょう。順番は送付状を最初にし、続けて履歴書やエントリーシートを記載します。

在中書類の下は一行あけ、「これ以降には何も書かれていない」ことを示す「以上」と記載して最終的に結びます。配置は横書きの場合は右よせ、縦書きの場合は下よせです。

送付状の作成マナー

A4サイズ1枚・横書きが基本

履歴書に限らず、書類を送る時の送付状はA4サイズに横書きで作成することが一般的です。企業には日々たくさんの書類が送られてくるため、送付状を読めば封筒の中身がパッと把握できるよう2枚つづりや両面つづりにはせず、1枚に収めるようにしましょう。

また、履歴書やエントリーシートは基本的に横書きで作成するため、送付状も書き方を統一した方が読みやすくなります。

手書きはNG!パソコンで作成する

送付状は手書きではなくパソコンで作成しましょう。現代ではビジネス書類はパソコンで作成するのが普通です。特別な理由がない限り、手書きだと「パソコン操作が苦手なのでは?」と思われるおそれがあります。

特にパソコンを使用する職種の場合は、余計な印象を与えないようにパソコンで作成するのが無難です。

印字した方が文字の大きさを統一できて読みやすいだけでなく、手書きと比べて誤字脱字の修正も簡単に行えます。就活では複数の企業に履歴書を送ることになるので、テンプレートを作成しておくと効率的です。

自己PR・志望動機の記載は不要

履歴書の送付状に自己PRや志望動機を記載する必要はありません。送付状は書類の送付を通知するための文書です。あくまでも送付書類の「添え物」としての位置付けであり、長々書くとかえって読みにくくなってしまいます。

それぞれの書類の役割を理解して、不要な情報は含めないことを意識しましょう。自己PRや志望動機は、履歴書やエントリーシートにしっかりと記載すれば十分です。

送付状を送る前に確認すること

せっかく時間をかけて履歴書やエントリーシートを作成しても、ちょっとしたミスでマイナスの評価をされてしまうこともあります。書類ができたら以下の項目を確認し、万全の準備をしてから送付しましょう。

必要な書類が揃っているか

企業が応募書類に指定している書類がすべて揃っているかもう一度確認しましょう。必要な書類が不足していると書類審査の段階で選考を見送られてしまうかもしれません。履歴書やエントリーシート以外では、成績証明書や卒業見込証明書の提出を求められることが多いです。

送付年月日・宛先・差出人は正しいか

送付状に記載した年月日、宛先、差出人などの記載に間違いがないかどうかもよく確認してください。特に宛先の企業名や担当者名などに誤りがあると失礼にあたるので注意が必要です。

送付状の年月日は投函の日付を記載する決まりなので、履歴書やエントリーシートの日付と一致していなくても問題ありません。

誤字脱字がないか

履歴書を送る時の送付状は、企業への最初の挨拶に当たります。誤字脱字があると丁寧さや慎重さに欠ける印象を与えるだけでなく、「仕事においても細かいミスをするのではないか?」と疑念を持たれかねません。

送付状を作成したら必ず読み返して誤字脱字がないかチェックしましょう。Wordをはじめとする文書作成ソフトの校正機能を活用するのもおすすめです。また、慌てて作成するとミスをしやすいので、時間に余裕を持って作成しましょう。

送付状の封筒への入れ方

重ねる順番は送付状が一番上

送付状は在中書類の中で受け取り手が最初に目にする必要のある書類です。そのため送付状を一番上にし、その下に履歴書やエントリーシートが来るようにします。基本的に書類は送付状に記載した順番に重ねて封筒に入れることを覚えておきましょう。

封筒はA4書類が折らずに入る角2サイズが基本

市販の履歴書は、一般的にA3を二つ折りにしたA4サイズと、B4を二つ折りにしたB5サイズの2種類あります。

もともと二つ折りになっている履歴書をさらに折りたたんだ場合、文字が折り目に重なって読みにくくなってしまいます。また、コピーを取った際に折り目部分の文字がかすれやすいというデメリットもあります。

封筒に入れる時は読み手の都合にも配慮して、できればA4サイズがそのまま入れられる角2サイズの封筒を使うようにしましょう。

クリアファイルに入れた状態で封筒に入れる

履歴書に限らず、ビジネス文書はクリアファイルに入れて郵送することが一般的です。クリアファイルに入れていないことが合否に影響するわけではありませんが、郵送の途中で折れやシワがついたり、雨に濡れて破れたりすることもあります。きれいな状態で採用担当者に読んでもらえるようにしましょう。

封筒の表面側に書類の文面が来るように入れる

送付状や履歴書を封筒に入れる時は書類の向きにも気をつけましょう。上下の向きを揃えることはもちろん、封筒の表面(企業の宛名を書く面)から書類を取り出した際に、書類の文面が見える向きで封入してください。

角2サイズの封筒が用意できず書類を三つ折りにして長封筒に入れる場合、同封する書類をすべて重ねた状態から折ります。1番上に重ねた送付状の上1/3が見えるようにして、残りを1/3ずつ後ろに折り返してください。封筒に入れる時は、送付状の右角が封筒表面の左角の位置に来るように入れましょう。

のり付けする

書類を封筒に入れたら忘れずにのり付けをします。もともと両面テープが付いているタイプの封筒であれば、それを使ってOK。付いていない場合は、スティックのりやテープのり、両面テープなどがおすすめです。

液体のりでも構いませんが、水分が多いので他ののりと比べるとシワができやすくなります。セロハンテープで閉じるのはビジネスシーンにふさわしくないのでNGです。

履歴書を送る時の封筒の書き方

履歴書を送る時の封筒の書き方

表面

封筒に宛先や差出人の情報を記入する時は基本的に縦書きです。表面は右上に応募企業の住所、中央に企業名と部署名を記入します。

履歴書などの重要書類が入っている時は、左下に赤字で「履歴書在中」もしくは「応募書類在中」と書き、赤枠で四角く囲みます。ゴム印のスタンプや、もともと印字されている封筒を使ってもOKです。

この「○○在中」の記載はなくても宛先の住所に届きますが、採用担当者が所属する部署まで確実かつ迅速に届けるためにも記載するのがビジネスマナーです。

裏面

裏面の左下には差出人である自分の住所と氏名を記入します。返送する書類がある際にここに記入した住所が参照されることもあるので、間違いがないように正確に記入しましょう。

封筒をのり付けした後は封字の「〆」と記載するのもマナーのひとつ。封字とは封をしてから開封されていないことを示す印です。最近はビジネスシーンでも封字を省略することが増えてきていますが、記載しておいた方が丁寧な印象を与えられます。

履歴書を送付する時の送付状テンプレート

まだ面接が決まっていない応募の段階

面接が決まっていない段階の送付状の例

書類選考に応募する段階では、初めてコンタクトすることを踏まえ、所属大学と氏名から名乗る方が丁寧な印象になります。その会社に興味を持ったきっかけや応募の経緯も簡単に記載しましょう。

面接のお願いはなくても構いませんが、あった方が入社への意欲が感じられます。末文の「何卒よろしくお願い申し上げます」は汎用性が高く、さまざまなシーンで使えます。

面接することが決まっている場合

面接することが決まっている場合の送付状の例

すでに企業とやり取りがあり、面接が決まっている段階では、改めて本文で名乗らなくてもOK。採用担当者は複数の学生からのエントリーに対応しているため、自分のために時間を割いてくれることに一言お礼を伝えられると好印象です。

送付状を入れ忘れたらどうすればいい?

複数社の応募書類を用意していると、うっかり送付状を入れ忘れてしまうこともあるでしょう。

結論から言えば、送付状の有無が合否に影響することはありません。忘れたからといって送付状だけをあとから送り直す必要はなく、電話やメールでの謝罪も不要です。ビジネスマナーとして理解し、次回から気をつけるようにしましょう。

履歴書の郵送では送付状をつけて印象アップ

書類を郵送する時に送付状を同封するというマナーは、学生にとっては初耳かもしれません。しかし、就活の場では学生も社会人としてみなされます。

送付状の存在を知らず、履歴書だけを封筒に入れて送ってしまうと「ビジネスマナーがわかっていない」と思われてしまうこともあります。送付状は入社後も作成するシーンが多いので、これを機にしっかり覚えましょう。

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